現在、法人研修部門(GOL)の仕事でトヨタ自動車の方とのやり取りが生まれてきているが、その「危機感」浸透の徹底ぶりに頭が下がる。あれだけ順調に成長し、過去最高益をたたき出しているにも関わらず、現場の社員から「このままではまずいからなんとか変えなければならない」という発言を実際に耳にするわけだ。
翻って自らを考えてみると、名古屋オフィスはビジネスとしても順調に成長を続けている。名古屋校開校プロジェクトという新規事業としてスタートしてから2年が経ったわけであるが、GMSも受講生の方々の規模が確実に増えているし、受講満足度も非常に高い。GOLの方も顧客基盤が拡大し、当初の予測を大幅に上回る形で成長してきている。
組織の規模も2年前に野田と井上の2名でスタートしたわけであるが、ちょうど1年前には4名が名古屋オフィスに関わるようになり、今年の4月で8名にまで拡大してきている。組織と
しては、小さいながらも、2年前の4倍に拡大しているのだ。
その拡大を受けながらも、ビジネスとしては今年度は黒字化することが大筋見込めている。
このようにビジネスとして順調にきているということはうれしいと思う反面、今感じることは「これでよいのか?」ということだ。確かに成長はしてきているが、お客様からもクレームを受けることも出てきている。ともに働く仲間も忙しい日々が続いている。また、現状の仕事を回すことにエネルギーを使いすぎ、次の成長の芽を生み出すための活動が弱くなっている傾向が生まれている。
このような現状に対してトヨタ自動車の社員ではないが、「健全な危機感」を忘れないようにしたいと感じている。
パタゴニアというブランドを聞いたことがある方も多いであろう。アウトドアの業界では圧倒的なブランドを築いている会社である。このパタゴニアのCEOであるシュイナード氏は会社の成長スピードが速すぎることに懸念を示し全社スピーチで、「社員が気持ちよくいられ、一人ひとりの目標達成と会社の目標達成とがシンクロする形のナチュラルな成長を望んでいる」と語ったそうだ。
ちなみにシュイナード氏の個人の目標は、
1)お金を儲ける
2)儲けたお金を寄付する
3)創造的であること
4)プライドのある仕事
5)悩まない
6)楽しさが満ち溢れている
だそうである。この個人の目標と会社の成長の折り合うところを探していたのであろう。パタゴニアのやり方が絶対ではないが、会社と個人のあり方を考える上では参考になる事例
である。
一方で、グロービスの経営理念は、
・ビジネスを通しての社会貢献(対社会):
グロービスは、常に新たな価値を創造し、ビジネスにお
ける新機軸を打ち出し、社会的善のビジネスを通して社
会貢献を行なう。
・自己実現の場の提供(対個人):
グロービスは、社の内外を問わず、グロービスに関わる
スタッフ各自が可能性を信じ、企業家精神を発揮し、相
互啓発を通して自己実現できる場を提供する。
・理想的な企業システムの実現(対ステークホールダー):
グロービスは、顧客を初め事業に関わる全ての人々の満
足度を高め、21世紀のリーダーとして、フェアでオープ
ンな理想的企業システムを構築し、維持する。
である。
ここまでの2年間での順調な推移と成長で良しとするのではなく、この理念に立ち返るとともに、個人としての目標もじっくりと見つめて、改めて”今やらねばならないこと”を考えていきたいと感じている。
参考図書:「ビジネスを育てる」(バジリコ)