先のエントリーでCEO'sミッションについて触れたが、その中で最も印象深かったスピーチが竹中平蔵さんの「国政におけるリーダーシップ」というタイトルのスピーチである。
内容自体も参考になったが、何よりも竹中さんの話し方に感銘を受けた。非常にわかりやすいのである。その要因を考えてみると、竹中さんはコンセプト⇒具体例という順で繰り返し話をされ、その具体例から聴衆が状況を映像的にイメージできるように工夫されていたからだと考えている。
多くの人々にわかりやすく伝えるということを仕事とする国会議員の能力の高さについて知る機会となった。
内容にいては参考に私が書いたメモを紹介したい。
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■ 「国政におけるリーダーシップ」(13:00-13:30)
前総務大臣兼郵政民営化担当大臣 竹中平蔵氏
・今日は小泉前首相を題材にリーダーの役割について説明したい。その前に私が考えるリーダーということをわかりやすく説明している本があるので紹介したい。それは「将たる所以」という梅原猛氏の本がある。その中で将がなすべきことを3つ言っている。
-自分自身の言葉で未来を洞察する
-自分が考えていることをわかりやすく説明する
-組織を変える
・小泉さんと一緒に働いてこれほどすごいリーダーはいないと考えている。天才型。たとえば、解散総選挙ということをやったが、あれはこれまで誰もやれなかった。首相が解散に持ち込むためには全閣僚の賛成を得なければならない。通常は誰かが反対する。今回も実際に3名が反対し1名が最後まで反対をし続けた。小泉さんはその農林水産省大臣を罷免して、自分が総理と兼務をし、全員賛成を得て、解散を実行した。
・言葉ということでもすごい。小泉さんはメディアの力をよくわかっている。ダラダラ話をしてもだめ。一言でわかる幹となる言葉だけを言う。例えば、「民間にできることは民間に」。誰も反論できない。
・小泉さんとは自分が閣僚になる数年前から勉強会を一緒に参加していた。小泉さんは勉強中、メモを一切取らず、ずっと腕組みをしている。それは枝葉の議論を捨て、幹となる部分だけそぎ落としている。そして、そのエッセンスとなる言葉で発信する。だから伝わる。
・小泉さんはその幹となるところがリーダーの役割ということをよくわかっている。小泉さんは仕事の細部をわかっている人を見抜き、大きく任せていく。
・ただ、それだけでは終わらない。私が骨太の改革案を提示したところ、自民党内、野党、メディアなどなどからバッシングを受けた。でも、それでも根負けせずにできた。それはなぜか。小泉さんが毎日電話をしてくれて「竹中さん、曲げるな。このままでいい。」ということを毎日話してくれた。
・なぜ不良債権をなくすことができたのか。その改革案には大きく6つの骨子があった。①資産査定厳格化、②事業評価の一律横串化、③ディスクロージャー、④何かあれば公的資金を入れるという方針、⑤繰り延べ税金資産の基準の厳格化、⑥経営計画を下回った場合の改革指導の6つ。
そのうち、⑤の繰り延べ税金資産の基準については私は厳しさの段階に応じた3つのプランを小泉さんに提示した。すると小泉さんは一番厳しいのだけでいけ、と言った。それを受けて、「では根回しします」というと「いらない。いきなり国会で出せ」と言われた。驚いたがそのまま提示すると、メディアも含めて大きな議論になった。しかし、その結果、他の5つは何も議論されることなく国会を通った。
小泉さんはそれを計算していたと思う。非常に戦略的。私は戦略とは細部に宿ると思っている。このような具体的な手順も含めて考えていくことが重要。
・冒頭申し上げた三つの力を備えていたのが小泉さん。おそらく国政におけるリーダーシップからも産業界でも学べることがあるはず。ご参考になれば。
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