今年最初の講師の仕事はとある会社に向けたリーダーシップ研修であった。これまではクリティカルシンキングや問題解決といった思考系プログラムの講師を担当することが多かったのだが、領域(芸域?)を広げてリーダーシップについても最近は教えることが増えてきている。
今回の受講生の方々は30代中心。職位としてリーダーになったものの、我流のスタイルでそれぞれがリーダーシップを発揮している状態だそうだ。そこで今回はリーダーに求められる行動プロセスや態度について考えるセッションの講師を担当した。
リーダーシップというものは生まれながらにして才能がある人が発揮するものと捉えられがちであるが、私はリーダーシップは後天的に学べると考えている。リーダーシップについての学術的な研究を紐解いても、リーダーシップは先天的なものという特性理論よりもリーダーシップは習得可能という行動理論が主流になっている。
ただ、リーダーシップというのは考え方を学ぶだけでは意味が無い(身に付かない)とも考えている。リーダーシップの考え方を学ぶと同時に、実際に現場の中でもがき苦しんだ中ではじめて身に付くものであると思う。
神戸大学の金井先生は「厳しい経験の中で一皮むける体験を重ねる」ことがリーダーになるには不可欠であると言う。また、アメリカのリーダーシップ研究機関CCLでもリーダーシップを開発するにはつらい経験や困難をうまく活用する必要があると言っている。
では、そのような経験を得るためには何が必要なのか。
一つは、そのような困難にも理想やビジョンに向かって突き進もうという強い”情熱”が必要である。そして、もう一つは、自分のためではなくクライアントやお客様、共に働く仲間といった他者のために、という気持ち、すなわち”愛情”が必要ではないか。私が出会った優れたリーダーはその両者を兼ね備えていると感じている。
今日のクラスの最後に、リーダーシップの考え方を下支えするこれらの”情熱”と”愛情”を忘れずに仕事に取り組むことが大切です、ということをお伝えした。私自身もそれを肝に銘じて仕事に当たりたい。