中田英寿(敬称なしをお許しください)が引退を表明した。日本全国そのニュースで持ちきりであるが、個人的にも驚いた。ただ、冷静に考えていくと中田らしい決断だろうと感じる。
中田をはじめてみたのは、アンダー17代表としての試合であるが当時からパスの精度、スピードが図抜けていた。明らかに同じピッチにいる21人とは違う動きであった。その後、あらゆる世代の代表を務めると共に海外クラブで活躍をしていった。
2002年のワールドカップで日本がベスト16に入れたのは中田の存在は大きかった。私も日本-チュニジア戦で中田の動き、そして、彼のワールドカップ唯一のゴールを眼にしたが圧倒的な存在感であった。
中田を見ると、常にグローバルでの高いレベルにあるべき姿を設定し、自らを高めるための努力を重ね実績を積み上げていっている。中田のオフのトレーニングの壮絶さは語られないが有名な話である。
しかしここ最近は所属クラブでも控えメンバーになることも多かった。そして、実際にドイツに行って日本-クロアチア戦で見た中田は、もちろん、チームを鼓舞し、体を張ってボールを奪うことに全力を傾けている姿は見えたが、一方でミスパスや周囲とタイミングが合わない動きも多く、彼自身ももどかしい思いが多かったと推察する。
今回の引退の理由の一つには、中田自身が設定した自己のあるべき姿を実現できないことで、サッカーにおける自らの限界を感じたのではないか。もちろん、中田の自己の限界を感じたレベルは他者にとっては非常に高いレベルであることは間違いないが、中田の美学としてはそれを許せないということなのだろう。
それでも、彼が残したものは大きい。ワールドカップや海外クラブでの活躍を通じて、本当の意味で、日本だけではなく、海外でも認められた日本人サッカープレーヤーは彼が最初である。その中田によって日本人でもグローバルに通用するという「希望」を残してくれた。
その後のキャリアはMBAを取得するといううわさもあるが、いずれにしても中田らしく、また、高いあるべき姿を設定し、それに向けて努力を重ねていくことであろう。
彼の姿、そして、今回の決断から我々が学べることは、
-キャリアにおいて高いあるべき姿を設定すること
-自己の現状で足りないことを改善するとともに、自己の武器を磨き続けること
である。そして、それだけではなくものすごく重要なことは、
-冷静に自己を見つめ、自己が輝く場を常に探し続けること
-過去の栄光に囚われず、新しい未来を信じること
であると感じた。中田英寿が残した「希望」を胸に取り組めば、サッカーではなくともあらゆる分野で世界というフィールドで活躍できるのではないか。そんな思いが中田の引退のニュースを受けて改めて感じることである。
人生を旅になぞらえることが多い中田であるが、これからの旅での活躍と幸せを心から応援したい。
>中田さん、お疲れ様でした。そして、ボンボヤージ!
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