リチャード・ブランソンが書く「僕たちには不可能はない」を読んだ。購入してからあっという間に読み終えてしまった。感想をシンプルに書くと勇気の湧く本である。
リチャード・ブランソンといえばヴァージングループの創業者であり会長である。一方で彼は自らを冒険家でもあると言っていて、熱気球による世界一周等にも挑戦している。
この本は彼の創業から今に至るまでの仕事、そして、冒険の数々からの学びを記しているのだが、過去の出来事について彼の言葉で生き生きと語られていて映像がイメージでき、ぐいぐい引き込まれていく。
特にリチャード・ブランソンの場合、規制の枠組みを壊して新しいものを、新しいサービスを作り出してきているわけだが、そのためエピソードはいずれも大変面白い。そんな彼の信念に近い考え方が冒頭に書かれている。それは以下のような内容である。
「もしもそのアイディアが意義あるもので、人道的な見地からも問題がなければ、たとえそれまで経験がないことでも、もっと言ってしまえば考えたことすらなかったことでも、僕は真剣に検討すると思う。(中略)そんなとき目の前に立ちはだかるのが不可解な理屈を捏ね回して作られた「ルール」だ。
(中略)だから僕は何か意味あることをしようと思ったらそれらの馬鹿げた赤テープに邪魔されないように最善を尽くす。とにかく、その手のルールを迂回して前に進めるような、合法的な手を探しまくるのだ。僕はいつも社員に「やりたいなら、とにかくやってみろ」と言っている。」
そうして彼は、ヴァージングループは世界第6位のレコード会社を作り、イギリス第二の規模の航空会社を作り、今や温暖化防止のための事業等を展開している。
一方で彼は先を見るのではなく「今を生き切れ」、そして、仕事に没頭して自らを追い込んでしまうのではなく「楽しもう」ということを言っている。
「未来ばかり見つめて生きることは、過去だけを見て生きていくのと同じくらい無意味なことだ。未来ばかり考えて生きている人は、満ち足りることは決してない。そのような人は往々にして、宝くじを引き当てるような目先の解決策を追求しがちだ。もちろん、お金は大切だ。だが大切なことは、お金は道具であって、目的ではないということだ。そして、未来に計画して売ることと同じぐらい、あなたが生きている「今」は大切だ。」
「僕の成功に秘密なんてない。ビジネスに決まったルールなんてないのだ。僕は単に、いつも一生懸命働き、必ずできると信じてきただけだ。だが、たいていの場合は同時に、やっていることを心から楽しもうとした。僕は楽しいという気持ちが働く動機であるべきだと心から信じている。(中略)働くことがストレスの源泉になってはダメだ。毎朝、疲労感とともに目が覚めるなんて、そんなの意味がない。楽しいという気持ちは、肉体的にもスピリチュアルな面からも刺激的で、人間をリフレッシュしてくれるものだ。笑い合うこと、愛し合うこと、そして、お互いに感謝すること、これらこそ、人生そのものだ。」
そして、彼は最後に手を差し伸べるように以下のような言葉で結んでいる。「さら、最初の一歩を踏み出してください。とにかく、やってみようではありませんか。あなたのこの先の幸運と、その道のりでたくさん楽しまれることを、心からお祈りしています。」
勇気の湧く本であった。そして、一歩踏み出てみよう、それも楽しみながらチャレンジしてみようと決意させてくれる本である。
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