本日はSOLジャパン主催のセミナーに参加してきた。SOLジャパンとは「最強組織の法則」を書いたピーター・センゲ氏が設立したSociety for Organizational Learning:組織学習協会の日本支部である。
昨年はピーター・センゲ氏が来日したのであるが今年はアダム・カヘン氏が来日していた。同氏は、ロイヤルダッチシェルにてシナリオプランニングのチームの責任者であった。アパルトヘイト後のマンデラ政権から招聘され民主化移行のためのプロジェクトのファシリテーターを務めた。その後もグアテマラやインド等で貧困問題や食糧問題等様々な社会問題に取り組んでいる。
つい先日のコペンハーゲンで行なわれたCOP15にも参加していた。
セミナーでは彼の経験、そして、そこからの学びを共有してもらった。例えば、彼がコペンハーゲンCOP15で見た世界は極端な視点を持つ2つのグループだったそうだ。一つは経済成長重視であり”力”を追い求めるグループ。そして、もう一つは環境重視で”友愛”を求めるグループ。これらのグループがお互いがお互いを批判し合い、歩み寄ろうとしない。
我々はここから何を学ぶことができるのか。アダムはどちらが正しいという問いは間違っているという。それよりもそれぞれの案を理解し合い、Unite(一体となる)させることが必要だと語る。
繰り返し彼は「力」と「愛」の存在について語った。アダムは社会変革を進める上では、「力」、すなわち成長・自己実現へと駆り立てるエネルギーと、「愛」、すなわち分断されたものを統合化させるエネルギー、の両者の統合が重要と説いている。どちらか一方に偏った見方ではいけない。両者の視点を持ち、それぞれを局面局面で活かしていく必要がある、ということを語っていた。
私は普段はビジネスの世界でファシリテーションという技法を活用している。その際に意識するのは「論理」と「感情」の両者の視点である。この両面を意識できていないと良いファシリテーションはできない。対極するものを統合化していく視点は多くの人を束ねていく上での重要なポイントということなのだろう。
アダムは様々なことを語ってくれたのだが最後に言ったことは「だれにでも不安がある。でも一歩踏み込むことが必要なのだ」ということだ。アダム自身も踏み込み沢山の失敗から社会変革の要諦を学んだと言う。その言葉から沢山の傷を負ったけれども力強くそびえ立つ大木を思い浮かべた。
ご興味のある方はアダムが書いた書籍「未来を変えるためにほんとうに必要なこと」を読まれると参考になるはずである。
実は今回セミナーに参加して一番感動したのは、その場の持つ空気であった。今回のセミナーは40名を超えるボランティアが関わっているそうだ。その一人ひとりの純粋な思いがその場の雰囲気を作り出していた。外の雨は冷たかったのだが、とても温かい気持ちで会場を後にした。