昨日の日経新聞第二部の「世界経営者会議」を読んだ方も多いだろう。その中で私が注目したのはセブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO鈴木敏文氏の講演記事である。
その中で大きく2つのことを鈴木氏は語っている。
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■ダイレクトコミュニケーションの重要性
社員の意識を改革する上で重要なことはトップのコミュニケーション。特に改革時にはダイレクトコミュニケーションが重要である。セブンイレブンでは、毎週1,500名の管理職を本社に集めて直接話をしている。直接、顔を見ながら話すことで、ニュアンスの違いなどがなくなる。トップと現場との縦のラインをできるだけ短くすることがマネジメントとしてとても大切なことである。
■将来から現在を考える
どんな未来になるかを考えて現在はどうあるべきを考える時代に入った。セブンイレブンを創業したときも「コンビニなど定着するはずがない」と反対された。セブン銀行も「ATMを置くだけでは採算は取れない」と多くの金融機関から忠告された。
お客の立場で将来から現在を考えると、ATMは銀行ではなく、会社や自宅に近い身近なところで利用されるようになると創造した。だから反対をうけても突き進んだが、結果2年半でグループ最大の伸びを示すまでになった。
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毎月ではなく毎週である。毎週1,500人を集めているその徹底ぶりがすごい。迫力すら感じる。機会コストも含めて莫大なコストがかかるであろうが、それを十分上回る効果があると信じて実践し続けている。そのプロセスを通じて、今何がはやっているのか、というようなトレンドだけではなく、鈴木氏の経営哲学が語られるのだろう。そして、企業文化が形成されていっているのだろう。
一方の「将来から現在を考える」ということも非常に重要な考え方である。将来のビジョンや夢を描き、そこから逆算するという発想。経営において忘れてはならない考え方である。
同じ記事ではトヨタ自動車の渡辺社長は「走れば走るほど空気がきれいになる車、交通事故を起こさない車、乗ると健康になる車など夢のクルマを実現したい」と語っているし、日本電産の永守社長は「夢のさらに前には法螺(ほら)がある。会社をどういう姿に持っていくのか、ビジョンを打ち出すことは大事だ。やる気や活力は成長が原点だ。トップが成長論者でなければ人は集まらない。」と語る。
これらのコメントも将来からの逆算の発想である。
「ダイレクトコミュニケーション」「将来から現在を考える」、いずれも重要な考え方である。
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