過去、「情熱大陸」についてこのブログで取り上げたことがあるが、情熱大陸はとても好きなTV番組の1つである。
今回の主人公はさいとうたかお氏。ゴルゴ13の作者である。ゴルゴ13は日本だけではなく、海外でも読まれていて、30年間休刊はない。そして、累計1億冊を超える販売部数を誇るマンガである。
ゴルゴ13ができた当時は手塚治虫が代表のように子供向けとしてマンガが描かれていた。そのような時代の中、さいとう氏は大人が読めるマンガをつくろうとして、ゴルゴ13を生み出した。つまり業界のパイオニアなのである。
現在、さいとうたかお氏は70才でありながら現役である。70才でありながら締め切りに追われて夜中の2時過ぎまでマンガを描き、事務所のソファーで寝る。マンガ会ではもう十分な地位や名声を得ている。しかしそこにあぐらをかかず現役として常に現場にいる。まずそのエネルギーがすごい。
そして、こだわりがすごい。こだわりの原点はリアリティの追求である。例えば、背景の小さなビルの窓を一つ一つ丁寧に描くし、アシスタントが書いた米粒ほどの人間の目線が不自然だとするとそれを直す。
なぜリアリティを追求するのか。それは物語が虚構であるからだそうだ。虚構の物語で、その絵にもリアリティがないとすると、読者は白けてしまう。それをさせないためには徹底的にこだわる必要があるそうだ。なるほど、である。
そして、それらを支えているのはさいとう氏の「生きる力(生きたいという思い)」ではないかと感じた。「好きだから」とか「やるべきだから」というような言葉は何かフィットしないような気がした。もちろん、読者がいるからこそ書くという思いがあるだろう。また、マンガが好きということも間違いない。
でも、何かそれ以上のさいとうさんの全存在をかけている取り組みであることを感じさせる。生きるってこととは何か、そんなことを突きつけられたような印象であった。
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