大前研一氏が翻訳をしたダニエル・ピンク著の「ハイ・コンセプトの時代」を読む。ダニエル・ピンクと言えば、「フリーエージェント社会の到来」を書いた著者でもある。
著者であるダニエル・ピンクは「フリーエージェント社会の到来」でもそうであったが、アメリカ社会を冷静に見つめ、今後の社会の変容について鋭い指摘をしている。
本書「ハイ・コンセプトの時代」においても、専門知識を身に付けた人などの「ナレッジワーカー」の時代は終わりに近づき、「コンセプト」の時代に入りつつあると指摘している。コンセプトの時代とは、既成概念に囚われず新しい視点から物事をとらえ、新しい意味づけがをしていくことが重視されていく時代ということである。
そのような時代では、「デザイン」、「物語」、「全体の調和」、「共感」、「遊び心」、「生きがい」という6つが重要なファクターであるといっている。
同書の中で紹介されていた面白いメッセージがある。それは「21世紀における遊びは、3世紀に渡って続いてきた産業社会における労働と同じ意味を持つだろう。知り、行動し、活を作り出すための中心的な手段である。(パット・ケイン)」である。
それの対極がフォードで起こったエピソードである。「1940年、ジョン・ギャロという労働者が笑顔を見せたことが原因で解雇された。以前にも他の労働者と談笑したために、製造ラインを30秒ほど遅らせた違反を犯したことがあるためという。この厳しい懲罰的管理体制は、ヘンリー・フォードの哲学を反映している。」
昔と比べれば現代は、労働環境が変わり、我々の仕事観も変化している。現代の仕事を考えてみると、重要な要素の一つは「遊び心」ではないかと思う。遊び心の源泉は好奇心である。興味があるなぁ、じゃーやってみよう!というように動機が生まれ、価値創造の行動につながっていく。
一方で重要な要素は、「意味づけ」である。その行動にどのような意味があるのか、そのプロジェクトに取り組むことがそれぞれの人生の中でどのような意味があるのか、というようなことを考えられる人は強いはずだし、多くの人の共感を得るはずである。
この本を読み、改めて、「遊び心」と「意味づけ」の重要性について再認識した。
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