昨日、NHKのETVで「三宅一生・未来のデザインを語る」というドキュメンタリーを見たのだが、三宅一生氏の生い立ちや氏が考えるデザイン観などが語られていて非常に面白い内容であった。
その中で私が受け止めた三宅氏のメッセージは以下である。
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・伝統を学ぶこと、新しい技術を学ぶこと、社会の変化について学ぶこと、これらのいずれもデザインにおいて欠けてはいけない。
・伝統に囚われすぎてもいけない。これまで創ったものを守ることと新しいことを生み出すことの両方をやらなければならない。
・デザインはこれからはモノだけで語ることはできない。社会問題や環境問題などの人間社会に眼を向け、デザインを考える必要がある。
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特に、三宅氏が強調していたのは”人間を見つめること、社会を見つめること”であった。デザインとは人間が求めている根源的な思いを形にして表現する行為と捉えると、人間について深く洞察することが必要不可欠である。
このTVでは三宅氏が企画に参加している「チョコレート展」というミッドタウンで行われている展覧会の裏舞台についても紹介されていた。今日の午後は休みを取っていたので、グロービス東京オフィスから歩いてミッドタウンに行ってみた。
チョコレート展は、21_21 DESIGN SIGHTで行われた第1回目の企画展である。”チョコレート”をモチーフにして、デザイナーや写真家等が発想しそれぞれの作品を作り、展示されている。
それぞれの作品は全く違う。チョコレートの溶けるという特性に着目したり、欲望という情緒面から作品を作ったり、チョコレートの生産国の在りようやそこに住む人に光を当てたり・・・。同じモノを見てもそれぞれの着眼点が違うことが非常に面白い。
私はその中で「モルフォチョコ」という岩井俊雄さんという方の作品があっと驚かされてもっとも面白かった。
私が身を投じているビジネスにおいても着眼点のユニークさは極めて重要である。人が考えないような切り口で物事を見る。そのためには、三宅氏が言っているように、我々も伝統や社会から学ばなければならない。そして、これまでの自分に囚われることなく、新しい自分を切り拓いていく。
三宅氏と彼が企画に参加しているチョコレート展からそんなことを感じ取った。
井上さん、こんにちは。
私も5月にチョコレート展へ行きました。
実は私の妻の妹が出展していたんです。
チョコレートの駒でチェスしたり、チョコレートの食器を食べたりする映像ものです。
岩井さんの作品「モルフォチョコ」について聞いてみたら、実際には溶けていないチョコレートが見る時間によって溶けて見えるという作品で、NHKとの共同開発技術を利用しているものだそうです。
また岩井さんは、自分の子供と作った工作を本にしたりしているそうです。
今までは美術館へ行っても、古典アートばかり見ていて、現代アートは見る機会が少なかったのですが、21 21デザインサイトは現代アートを見る場を提供してくれる面白い存在だと思います。
今週井上さんと講義でお会いできなかったので、ブログにメールしてみました。次回講義でお会いするのを楽しみにしています。
投稿情報: ピーナッツ | 2007-08-25 14:22
井上先生、こんにちは。
私も、その番組を見ていました。
デザインにたずさわる者として、とても興味深い特集でした。
私は、21世紀は、ずばり、「関係のデザイン」だと考えています。
デザインの歴史を振り返ると、20世紀までは、意匠、図案のデザインが中心で、「見えるかたち」を作り上げることで問題点を解決し、新しい造形を築いてきました。
モノの豊かさから心の豊かさの時代へとシフトしている現代においては、デザインも複雑、多様化が求められています。
単に問題解決にとどまらず、問題点とあるべき姿のギャップを深く読み取り、全体との環境に配慮し、どうしたらより良い関係を築くことができるか?
というところに、デザインの役割が求められていると思います。
クリシンは、デザインのコンセプトを考える上で、とても役に立っています。
Bクラスの振り替えで、多くの気付きをありがとうございます。
引き続きピープルエクスプレスをがんばります。
投稿情報: ふじきょん | 2007-06-24 17:50