先日、インテルのアンドリュー・グローブ氏を取り上げた(その内容はこちら)が、それを書いていて、同じくインテルのムーアの法則で有名なゴードン・ムーア氏の以下のエピソードを思い出しのたで紹介したい。
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■失敗しても大丈夫、常に挑戦を ゴードン・ムーア(日経ビジネス2001-7-30)
先日の株主総会で正式にインテルの経営から離れることになりました。なくなったロバート(ノイス氏=共同創業者)と1968年にインテルを創業して以来、33年間を振り返ると自分でも信じられないほど多くの失敗をしたと思います。忘れようとしても忘れられない失敗がいっぱいあります。
一番印象に残っているのは、私がロバートの後を受けて最高経営責任者(CEO)に就任して間もなく始めたデジタル時計のことです。
当時、今では半導体メモリーの中心的存在になっているDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の開発に成功し、売上高が1億ドルを超える直前でした。事業が波に乗っていたせいか、半導体の新しい用途だからと気軽に考えてデジタル時計の生産に乗り出したのです。
ところが、日本の時計メーカーの低価格攻勢に遭い、作れば作るほど赤字になりました。何しろ、生産開始から3年後に私が事業の撤退を決定した時には、私たちが売り出した当初の価格のおよそ10分の1でしかない製品まで登場したのです。結局、この時計事業だけで1,500万ドルの赤字を生み出しました。まだ創業から10年もたたない当時のインテルにとっては死ぬか生きるかというほどの大きな打撃でした。
私はこの失敗の後、教訓としてかなり長い間、このデジタル腕時計を身につけていました。最近でも折に触れて電池を入れ替えては使っています。
ただし、誤解されやすいのですが、私がこの腕時計をするのは、こんな失敗は二度としないようにという思いからではありません。逆にこんな失敗だってちゃんとできたじゃないか、私たちは今、ちゃんとリスクを取って挑戦しているだろうかと、だんだんリスクを取らなくなる自分たちを諌める思いの方が強いのです。
企業は放っておけば成功体験にしがみついてリスクを避けるようになります。その方が楽だからです。しかし、企業にとってこれが一番怖いのです。私が1年半から2年ごとに半導体の性能が2倍に上がるという論文を書いてから30年以上たちます。
実際、半導体産業はその通りに進み、ムーアの法則という名前までいただきました。この間、いくつもの技術のブレークスルーがありました。ものすごい勢いで半導体が技術革新したから、ムーアの法則が成り立ったのです。この法則はまだ10年以上生きると信じています。技術革新の勢いは止まらないからです。
そのスピードにマネジメントがついていけなければ企業は衰退します。技術だけではありません。企業を取りまく環境も大きく変わっています。
端的な例は現在のシリコンバレーでしょう。この3年で様変わりし、今や世界で最もコストの高い地域になってしまいました。ここでモノ作りを続けるのは難しいでしょう。なぜならばシリコンバレーを出て行けばよいのか。それでは解決になりません。ここは今後も重要な技術革新の発信地になるでしょう。その場所に企業があることは重要です。
変化するために大きなリスクを取る勇気。私は腕にはめたデジタル時計を見るたびに、その必要性を再認識しているのです。
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このエピソードは、私の最も好きな経営者のエピソードのうちの一つである。
私もこれまで数多くの失敗をしてきている。その多くは、新しい領域にチャレンジして、自らの能力が追いつかず、お客様のご満足を得られなかったケースである。そのような状況に陥った際には、お客様の声を真摯に受け止め、さらに自分自身を成長(変化)させることが自らに課された役割であると信じて行動してきたつもりだ。そして、その結果、今の私が存在する。
しかし今の自分にこだわってはならない。とどまってはいけない。変化し続けていくこと、”挑戦すること”を通じて自らを変え続けていくことが大切である。
Lord Lambeth just hung fire. “Well, I asked her to.”
MCM 韓国 http://www.oze.gr.jp/~take/diary/data/mcm1.php
投稿情報: MCM 韓国 | 2013-11-30 01:09