「ご臨終メディア」という本を読んでいる。
この本は今の日本のメディアの「思考停止」状態を洗い出し、批判し、あるべきメディアのあり方について、対談形式で掘り下げている著である。
対談者は森達也さんと森巣博さん。森さんの本はかつて「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」という本を読んだことがある。森さんはオウム真理教をテーマに描いたドキュメンタリー映画の監督を務められた方である。
同書は、日本のメディアが構造的に権力に対して従順になってしまっている現状や権力に対して質問する力を失っている記者の実情を提示し、その危険性を提示している。
私はメディアに身を置いていないので同書で取り上げている実情が本当なのかはわからない。ただし、この本で主張する「思考停止」や「質問力を失う」ことの危険性については多いに賛同する。
ビジネスの現場でも、「本当にそれでよいのか?」「なんでそんなことをやらなければならないの?」という質問を投げかけることを忘れ、言われたからやる、ということで結論を出すケースがある。また、忙しいことを理由に「まーそれでいいんじゃないの」と安易に結論を出すことがある。
その結果、現場に大きな混乱が生まれてしまうこともあるし、経営上の大きな損失につながることもある。
当事者意識を持ち徹底的に考える姿勢を持つこと、疑問を持ち、理解できないことへは質問を投げかけることの重要性を、自戒の念を込めつつ、本書で見つめなおしたい。