本日の日経新聞に「まちづくり三法」の改正案に関する記事が出ていた。
今回の改正案は、地方の商店街の衰退を食い止めるため、郊外で床面積1万平方メートルを超える大型商業施設の大型を禁じる規制の強化することが趣旨である。
さて、果たして今回の改正案が、商店街の衰退を食い止めるということにつながるのだろうか。
名古屋に来てから、地方都市へ仕事に出かける機会が大きく増えた。そのような駅に降りて見る商店街を見ると確かに衰退をしていることを感じさせる。商店街を歩いてみるとシャッターが閉まったお店が虫食い状態敵に存在している。一方で車で少し移動してみると駅から離れた場所に大型ショッピングモールがあり、駐車場には多くの車、中にもたくさんのお客さんでにぎわっている。
今回の改正案により、確かに大型ショッピングモールの出店は制限される。しかし、その結果として、商店街に人が流れ商店街の活性化がなされるのかということには大きな疑問符が付く。
人が商店街に流れない理由は、大型ショッピングモールができたからだけではない。商店街が顧客のニーズを捉えた商品やサービスを提供できていない、ということや、商店街の後継者がいないのでお店を継続できないということもある。また、そもそも、クルマの利用が進んでいる地方都市では狭い駅前にいく気にならない、ということもあるだろう。
このように考えると、大型出店規制という打ち手(手段)が商店街の活性化という目的に対して適切ではないことが見えてくる。もし今回の規制が実施されても商店街は活性化されないし、顧客は大型店に行くために遠くに行かねばならないので利便性は減る。さらに行政には大型店舗による税収が入らなくなる。つまり今回の規制はデメリットの方が圧倒的に多い。
では、本来ならば何をすべきなのか。商店街の活性化をするためには、顧客のニーズやシーズを把握し、そのニーズやシーズに適切な商品・サービスを提供していくことが必要だろう。特に、大型ショッピングモールとの競争に勝つためには、大型ショッピングモールができないようなサービスをやっていくべきだ。私ならお客様との接点をより密度高く頻度多く持ち、お客様の顔やライフスタイルを把握し、One to Oneに近いサービスを提供していく。そのような企業努力がないから商店街が衰退していくのだ。
クリシンでも「目的」をしっかりと押さえた上で、それに適切な「手段」を考えるべき、ということを学んでいくのだが、今回の規制は「目的」と「手段」が合致していないと私は考える。
今後の動向に注目したい。
たつー、
そうだよね。だんだん、日本は人と人とのつながりが希薄化しているんだよね。
でも、だからこそ、人と人とのつながりを重視した、そして、地域の特性と密着したような商店街のあり方があってもいいと思うのです。これは大規模店舗にはできないはずだから。
投稿情報: 井上陽介 | 2006-01-07 10:15
商店街にあって大型ショッピングモールにないもの、それは人と人との結びつきだと思います。
隣の部屋に誰が住んでいるのかも知らないような社会では、人と人との結びつきは衰える一方。で、今の日本はその方向に邁進しているのです。
合理性、経済面ばかりを重視する、そういう視点から問題を捉えると、商店街は営業努力云々ではなく、もう無用の存在なのです。
悲しいことです。とても。
投稿情報: たつのすけ | 2006-01-06 17:42