年末年始に読んだ本で、印象的だったとして「BUSINESS AS UNUSUAL」を紹介したが、もう一冊紹介したい本がある。「ブルーオーシャン戦略」である。同書はずっと読みたいと思っていたのだが、なかなか読めずにいたのであるが、年末年始の時間を使って読むことができた。
ブルーオーシャンとは何か。そのの対極にあるのが、レッドオーシャンである。レッドオーシャンとは既存の市場である。レッドオーシャンでは、産業の境界が引かれており、各社は競争のルールに則り、限られたパイのうちできるだけ多くを奪い取ろうとする。
一方のブルーオーシャンは、市場として未開拓で、新たな需要を掘り起こす必要がある。主に既存の市場を拡張することによって生まれていく。
過去の戦略論ではレッドオーシャンでいかに勝ち抜くのかという枠組みを提示していたが、ブルーオーシャンの戦略的打ち手について研究は深くはされていなかった。今回その領域について、INSEADのW・チャン・キム教授、レネ・モボルニュ教授を中心に研究がなされ、同書が完成した。
たとえば、シルク・ドゥ・ソレイユがサーカス市場という成熟したマーケットの中で既存の枠組みで勝負するのではなく、ブルーオーシャンを切り開き、より高いバリューを顧客に提示し、高い成長性をたたき出している。シルク・ドゥ・ソレイユのようにブルーオーシャンを切り開いている場合、やるべきことを加えるだけではなく、必要ないものを大胆に削減している。例えば、シルク・ドゥ・ソレイユの場合は以下の通りである。
・取り除く: 花形パフォーマー、動物ショー、館内でのグッズ販売
・減らす: 笑いとユーモア、危険やスリル
・増やす: 個性あふれる独自のテント
・付け加える: テーマ性、洗練された環境、芸術性の高いダンス
その結果、既存プレイヤーにはなかったような価値を生み出し、顧客を惹きつけ、新しい市場空間を生み出しているのである。
同書では、上記のようなシルク・ドゥ・ソレイユだけではなく、NTTドコモのiモードやサウスウエスト航空、ブルームバーグ、CNN、キャロウェイゴルフ等、多数の事例を用い、ブルーオーシャン戦略策定及び実行の基本ステップを提示している。
この本は戦略論を考える上で、今後必読書になっていく本ではないかと思う。
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