稲葉弘美が入社した。新しい仲間が増えていく。とてもうれしいことだ。今から4年ほど前に私はグロービスの大阪オフィスに入社した。当時の大阪校は受講生数は180名前後。スタッフは私が入って6番目だった。その大阪校は現在受講生数380名。GMS以外の事業も育ち、全スタッフ数も25名ほどとなっている。スタッフの人数を考えると4年間で5倍近くの規模になっていった。その間オフィスも2回増床し、今年にはビルが手狭になって新しい場所に移転することになった。
振り返るとかなりダイナミックなプロセスだった。そして、その渦中にいて多くのことを学ぶことができた。自分なりに、組織が成長していくために押さえるべきポイントは以下の3つではないかと考えている。
1)ビジョンを共有し続けること
2)メンバーが成長するための場を創ること
3)組織全体に目を配り弱っているところがないか気をかけること
1)ビジョンを共有しつづけること
どのような組織でも、組織が成長していくためには方向性を共有しなければならない。現状どのようになっていて、我々はどこに向かっていこうとしているのか。これをお題目で終わらせるのではなく、組織成員一人ひとりが具体的なイメージを持てるようにしていかなければならない。これを実現するために、前回のコラムでご紹介したリトリートという合宿研修を全社レベルではなく大阪オフィス単独でも行っていた。その場で、
-向かっていきたい方向性は?
-実現するための戦略は何か?
-戦略を実現するために必要な資源はあるか?ないならどう調達するのか?
といったことを徹底的に議論し、繰り返し自分たちが何をすべきか共有していた。
2)メンバーが成長するための場を創ること
方向性は理解できたとしても、それを実現するためには組織成員一人ひとりが高いパフォーマンスを上げていかなければならない。組織が成長している過程においては、入社したばかりの人にもかなりのタスクを行ってもらう必要がある。それをうまく回していくためには、OJTとOffJTの2つの方法がある。
ひとつは実際の業務の中でOJTで自分の持っているノウハウをできる限り伝えていく。僕の場合は、ソリューション営業を行っていたのだが、部下と一緒に顧客を回り、どのような視点から考えていくべきか、そして、どのように提案することが顧客を振り向かせることになるのか、議論しながら共に成長していってもらった。
もうひとつはOffJTである。スタッフの大半がGMSを受講し個人個人の能力を高めていた。そして、それと同時に勉強会を行っていた。テーマは自分が興味のある分野について30分程度プレゼンをして、後は2時間議論するという会を継続的に行っていた。プレゼンはもちろん持ち回りで全員が行うようにしていた。この勉強会で私自身も多くの学びを得ることができた。
3)組織全体に目を配り弱っているところがないか気をかけること
方向性を共有して、組織成員一人ひとりが強くなろうと努力していても、やはり漏れはある。 「鎖は一番弱いところで切れる」という言葉がある。これは最近出版された書籍「ポップコーンはいかがですか?」で著者の元バージンシネマジャパン社長山本氏が述べていることであるが、まさに真実だと思っている。
成長を志向している組織にいるとついつい高い成果を上げている者や勢いのあるチームに目が行きがちであるが、実は重要なのは弱っている個人や組織の課題解決をしっかりと行っていくことだと思う。
これをするためには日ごろからしっかりとコミュニケーションを取り、どのような課題があるのか、なぜできていないのか、ということを把握することが大切だと考え、実現できるよう努力していた。
さて、名古屋でも価値あるサービスをできる限り多くの方々に提供していきたいと考えている。そのためにこれから稲葉のように新しいスタッフに入ってもらいたいとも思っている。その中で大阪時代に学んだ上記のようなポイントを意識し実践すると共に、さらに自分なりのやり方に磨きをかけ、強くしなやかな組織を実現させていきたいと思う。ぜひ、日ごろ組織運営を行うなかで大切にしているポイントがあったらぜひお教えいただきたい。