以前このブログでも紹介した「システム思考ワークショップ」。その主催者であり、環境ジャーナリストであり同時通訳者でもある枝廣淳子さんの著「思えば、そうなる」を読んだ。
この本は枝廣さんの経験から学んだ「本当の自分がやりたいこと」を見つける方法について書かれている。
枝廣さんはキャリア形成には「フォーキャスティング」と「バックキャスティング」の2つがあり、バックキャスティングの手法を薦めておられる。フォーキャスティングとは、「先を見ないで足元の現状から積み上げていく方式」であり、一方のバックキャスティングは、「まずビジョンを描きそこから現状を振り返り、そのギャップを埋める計画を立て実行していく」方式である。
枝廣さんは夫の海外留学に付き添って2年間アメリカ生活が決まった際に、このバックキャスティングの手法を取り、「同時通訳者」というビジョンを描き、実際に学習を重ねて、実現したのだ。
何度かキャリアについてのブログを書いてきたが、キャリア論には大きく2つの考え方がある。グロービスが「ビジネスリーダーのキャリアを考える技術・つくる技術」で提唱したような「戦略的キャリア形成アプローチ」と「偶然を必然にするアプローチ」である。(参考ブログはこちら!)
枝廣さんの考え方でいくと、戦略的キャリア形成アプローチはバックキャスティング手法で、偶然を必然にするアプローチはフォーキャスティングである。
いずれの手法を取るのがよいのかは、個人個人やその方のステージによって違うのであろうが、それらの手法の違いを理解しておくことは重要である。そして、両者を使いこなす(使い分けられる)ことができれば理想であると私は考える。
さて、最後に枝廣さんのコメントを共有したい。
「自分のこれまでを振り返ると、「その月を目指そう!」と目標を立て、計画を作り、振り返り調整しながら、その月の近くまでやってきたら、その向こうにもっと魅力的な星がキラキラと手招きをしている。「じゃ、あの星まで行こう!」とまた計画を練り、実行し、振り返りながら進んできたら、もっと素敵な星が見えてきた・・・そんな繰り返しです。いつまでたっても、「はい。到着しました」にはならないようです。
到着することではなく、次々と素敵な星を見つけながら、自分の起動を修正しながら、進んでいくそのプロセスこそが人生なのだ、と思うのです。」
おっしゃるとおりである。人生は結果以上にプロセスに意味がある、のである。